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Microsoft EdgeのPDFリーダーが中華フォントを表示する問題

PDFの給与明細を眺めていたところ、表題のような問題を発見した。調べてみると有名な症状らしい。


発生しているシーン

  • Edge バージョン 142.0.3595.94 (公式ビルド) (64 ビット)
  • Edge バージョン 143.0.3650.66 (公式ビルド) (64 ビット)

で確認。



「所」や「与」が変なので気付いたが、よく見たら「定」も変だし、「勤」「残」「曜」とかは別世界線の文字を見ているようだ。「給」などはハマグリ(蛤)に見えてくる。

字形が同じ漢字(内や休)であってもバランスはどこかおかしく感じられるし、数字フォントはウェイトがおかしい。


正しい表示

実はEdgeの設定を変更すると中華フォント化を回避できる。



これは本来意図していた表示結果で、見慣れた日本語フォントだ。実際にレンダリングに使われたのはMS明朝。

比較のためにAdobe Acrobatでの表示結果も置いておく。こちらもMS明朝。



Edgeの設定変更で中華フォント化を回避する

  • Edgeのアドレスバーを使って edge://flags/#edge-new-pdf-viewer を開く
  • New PDF Viewerの設定をDisabledにする
  • Edgeを再起動


問題の背景

言うまでもなく、New PDF Viewerが悪さをしている。これは既知の問題である。

New PDF Viewerとは何であるか。それはAdobe製のPDFレンダリングエンジンである。

実際PDF表示の画面右下にはAcrobatのアイコンと、Powered by Adobe Acrobat の表示が見られる。


これはAcrobatデスクトップアプリケーションとの統合ではなく、あくまでPDFエンジンの提供のみ。デスクトップアプリケーションの機能をEdgeから使うための拡張機能は別途用意されている

New PDF Viewerは2023年3月より一般リリースされた機能のようだ。

New PDF Viewer以前のエンジンはEdge組み込みの独自エンジンであった。先の設定変更は、強制的に従来エンジンを使うよう指示するというものである。


MicrosoftはPDFエンジンをAcrobatのものに統合しようとしており、それらは文書の表示再現性やセキュリティ上のメリットをもたらすらしい。しかし中華フォントがレンダリングに使われるとあっては、こうして謳われるメリットなど消し飛ぶというものだ。

古い報告からは2年以上が経過している問題であり、これら以外にも「日本語文字が表示されず数字と罫線だけになる」といった症状もあったりする。New PDF Viewerの品質は期待されるレベルに達していないというのが今のところの率直な評価と言えよう。


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