スイッチプレートの銘板に、自作したものを使っている。
フォントは筑紫A丸ゴシック。ちかごろ流行りなオールド系の骨格で、洗練された美しさと丸っこい親しみやすさが同居するとても使いやすいフォントだ。
フォントを変えてみた遊び。結婚式の招待状でお世話になった花胡蝶にしてみた。めっちゃ優雅…… なのだが、コスモワイド21のプレートにはアンマッチ感が強い。
アドバンスシリーズあたりの暗めの色(下写真)に合わせるなら、悪くない雰囲気になりそうである。余力があれば箔押し金文字とかね。
[スイッチ・コンセント]カラーコーディネイトツール を見ると、知らないラインナップやカラーリングが色々あって面白い。
🐠なぜ銘板を自作するのか
これには大きく2つのメリットがある。
🦐好きなフォントが選べる
コスモワイド21標準の銘板カードというものがあるのだが、そのフォントが古臭いのだ。
UDフォントの系統だとは思うが、だいぶ懐古趣味っぽさを感じてしまうテイストに感じられる。
古い公民館や図書館の「お手洗い」のプレートとかで見るような文字、と言ったら伝わるだろうか。
「階」などは偏と旁が接触してしまっているが、手持ちのフォントにこのようなデザインのものは見当たらなかった。
🦐標準にない文言や色を使える
次の写真は掃出し窓の室内側壁のスイッチである。
まず文字色を真っ黒ではなく、わずかに明るい茶色にしてある。家具との自然なマッチングを目指した色で、意識しなければ普段は気づけない程度に調整した。
文言は特殊で、このようなものは標準には一切ない。「庭園」「ガーデンライト」のような文言はあったかもしれないが、とにかく左右の区別はできない。
自作するにあたってはここの文言にわりと悩まされた。
「庭左」「庭右」のようにすると、まず遠目では区別が難しくなるに加え〝どちら側から見たときの左右か?〟が不明瞭になりそうなことは容易に想像がついた。
悩んだ末、写真のように記号を取り入れてみたが、これで今のところ混乱せずうまく操作できている。UIデザインって面白い。
🐠フォント選定をどうするのか? 問題
フォントに悩んでる間が一番楽しい。
前提としては、ふつうに自分好みのものを使えばよい。
ただ例示したように合う/合わないは当然出てくるし、公共サインの性質も含むものなので視認性を無視して毛筆フォントとかを使うのはかなりチャレンジングになる。
失敗の少ない選び方のコツらしきものを書く:
- ゴシック体、中でも特に丸ゴシックは安定
- これはスイッチプレート自体が角丸デザインになっているためである
- また日本人は丸ゴシックに「オフィシャルな感じ」を抱きがちだ。cf: 「止まれ 標識」を画像検索せよ
- 逆に明朝体などウロコのある書体は家具等への合わせに苦労するだろう
- デザイン性の高いロゴタイプのような書体は避けるのが無難。単純に読みづらいので
- 面積が狭く影も落ちるという読みづらい条件が揃っており、UDフォントは適任となる
- フォント自体の太さがある程度ないと合わない
- スイッチプレート自体に物理的な実体があることがその理由
- フォントのストロークが細いと、スイッチ間の隙間といった物理的な線に存在感で負けてしまう
- 近くでまじまじと見るものではないので、細部のデザインではなく書体自体の骨格が気に入るものを選ぶのがよい。実際に配置してみると細部はほぼ見えない
色々試した中では読みやすさと遊びのバランスも含め、筑紫A丸ゴシックが最高にマッチしたので、これを採用した。
他にもじゅんやUD新丸ゴ↓は悪くない候補だった。
一方で、これが丸明オールド↓になると、細部はほんの少しの違いなのだが、組んだとき全体の印象として若干フォント自体の主張が強すぎる感じになった。
公共サインフォント選定の考え方は「そこにあることが気づかれないほど空気のように透明な存在となって、目に引っかからないものがよい」である。
究極の読みやすさを実現できたならば、逆説的にフォントそのものは意識されなくなる。
したがって、ここで主張の強すぎると感じたフォントは基本的に選定外となる。なにしろ自宅で何年も見ることになる文字なので、些細な違和感も積み上がる。
🐠銘板自作の手順
物理的な実体があるので、アナログな手段で制作することになる。プリンターで印刷してカッターで切り取ってスイッチプレートに差し込む。
プレートへの組み込み作業については電気工事士の資格等は不要だ。実際このような標準銘板の印刷された紙が売られており、簡単に交換できるようになっている。
🦐具体的な手順
- スイッチ・コンセント(配線器具):スイッチ用ネームカード 印刷ツール にあるExcelシートをダウンロードする
- データを修正して、好きな色・フォント・文言の銘板データを作る
- レイアウトを調整する
- 基本は両端揃えのレイアウトがよいが、左右はギリギリだと読めないので0.5~1文字程度の余白がほしい
- 上下もキリトリ線内いっぱいだと見えないので数ミリは空ける必要がある
- スイッチプレートからスイッチを外す。「コスモワイド スイッチ 外し方」とかで検索すれば3秒でわかる写真が出てくる
- データを適当なA4の紙にテスト印刷する。実際に切り取りスイッチプレートの窓アキ部分に差し込んでみて、フォント選定を評価する
- スイッチの数が多く、漢字が多めの箇所で見え方を何通りか試すのがおすすめ
- 文言やフォントに問題がなければ、続けてサイズを微調整する
- 文字は大きい方が視認性がよいが、余白があれば余裕や高級感を演出することができる
- フランス料理の皿理論だ (*)
- 本番のインクジェット厚紙に印刷する。紙はこれを使ったが、窓の中で折れたり落ちたりしなければなんでもいいと思う
- カッターできれいに切り出す
- サイズは多少間違っても余白が増減するだけなので気づかない
- 上下の切断線が斜めに歪むと一気に違和感が出るので、そこだけ気をつける
- 小学校で使った工作板が大活躍した
- プレートに入れたら完成。楽しもう
ところで計画段階では「数ヶ月おきに気分変えて別のフォントに入れ替えようかな~~」とか考えていたのだが、差し替え作業の手間が思った以上だったのでずっと放置している。
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* https://omocoro.jp/kiji/88304/
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