乗り物がたいへん好きなので、定期的に一人旅をやりたくなる。
前回の一人旅では土合駅を見てきたが、あれから2年も経ちそろそろ乗り物欲が我慢できなくなってきた折、衝動と勢いに任せてアァアアーーーッと名古屋に行ってきた。
旅の第一目的はリニモというリニアモーターカーに乗ること。時期は2月のことである。
まずN700Sを捕まえる
N700Sはそのへんに大量に生息しているので、狙わなくてもすぐ捕まえられる。山手線の電車より捕獲が楽かもしれない。
子連れの家族旅行などと違って、一人旅ならば自由席で十分である。予約とかないのでホームに着いたときちょうど居合わせたのに乗るだけ。
いまさらだけど新幹線って超たのしいよね。東海道はとても景色よいし。
富士山に、
浜名湖に、
ニチバンの工場に、とたいへん風光明媚なお土地柄。
そして名古屋到着。日本一有名な通過都市にあえて停まる。実績解除。
リニモの駅まで地下鉄にのる
これは地下通路にあった原子炉格納容器みたいな路線図。かっこいい。
あとめっちゃ古い案内看板を見つけてテンション上がった。100系新幹線のアイコンもすごいけど、サインのフォントがゴナなのがガチですね。
市営地下鉄の車両はだいぶ古い感じのやつで逆に新鮮。
線路側の標識も見慣れぬやつがいくつもあり、とくにこの勾配標のイラストが良かった。過去と未来が同居している。
ガラガラのリニモは静かに滑る
リニモの駅につく。なんか知らんがめっちゃ鳩がいた。乗客の数より多かったかもしれない。浮いてる同士で気が合うのかな。
改札階に降りると空間がジブリパークの宣伝に侵食されていた。地上駅舎にはジブリの痕跡を匂わせるものがないので、ここだけが際立って異空間めいている。
さて、リニアモーターカーといえばやたらと速い乗り物のイメージがあるが、このリニモは最高でも100km/hと速さの方はそこそこに留まっている。
そのかわりに際立つのが走行音の静かさだ。地上との接触が一切ない、6mmくらい浮上した状態で走るので電車っぽい音がしない。これが速さとは全く別軸の新体験だった。ぜひ動画でごかくにんください。
加減速時こそヒュイーンと磁歪音みたいなのが出るが、高速時は風切音ばかりが聞こえ、低速での惰走中などは空調の音しか聞こえない。まさに滑るように走る、というか、リニモの場合は浮いているので本当に滑っている。
速度はそこそこ と言いつつも、最高100km/hというのは新交通システムと比較するとだいぶ速い方だ。そのうえ最急勾配は60‰と冗談みたいなスペックをしている。設計者はこれを登山鉄道と勘違いしていた疑惑がある。
坂道ィィ |
輸送システムの正式名はHSSTというらしい。名前だけ聞くと化学物質みたいだが、ちゃんとしたリニアモーターカーである。ゆりかもめなどで使われる新交通システム (AGT) とは全く別のコンセプトだ。
自分が特に気に入ったのは景色が大変よいという点。
走行音がとても静かなので防音壁が不要なことに加え、無人運転なので運転席前方も自由に見えるというのがその理由。あと無人運転の恩恵で信号も標識もない、ついでに架線もない。
これで車内はガラガラというのが本当によいのだ。ガラガラの観光地ほどよいものはない。他人に気兼ねせず席移動したり写真撮ったりと自由に遊んでいた。
目的地がないので雑に万博公園を歩く
リニモ最大の欠点は、「リニモに乗る」の他に目的地を見いだせない点にある。沿線に大したスポットはない。終点に着いたものの、何をすればよいかわからない。
一応ここに来た証拠としてあれこれ写真を撮って、そのまま何食わぬ顔で折り返しの電車に乗った。書いていて気付いたけどこれは不審者の行動そのものですね?
モノレールの終点とかでよく見る感じの折り返しポイント |
当然ながら時間が余ったので、帰りは途中下車して、万博会場だった公園を歩いてみることにした。微妙な計画性のなさで宙に浮くこうした時間が愛おしい。
初見の感想としては、とにかくでかい、広い。
申し訳程度にモリゾーとキッコロ。かわいいね。
巨大公園の中にぽつりぽつりとジブリ的スポットが点在していて、場所によってはチケットの必要な有料エリアになっている。
たとえばこれは、だいぶジブリっぽいテイストのエレベーター。
一方こちらはジブリなのか判断に迷うトンネル。もしこれがジブリでなかったら単なる変なトンネルなのだが、まああんまり差はない気もする。いちおう千と千尋だと思っておく。
変な乗り物「スロープカー」を発見
なんか電話ボックスみたいに縦長の箱が丘をスイーっと登っていく。なにこれ面白い。
立て看板にてスロープカーとの案内。
ジブリパーク内で乗り物といえば猫バスとかだと想像していたが…… なんかそれよりも圧倒的に変な乗り物を発見してしまって、クリア後の裏面の入り方を見つけたみたいな喜びがある。
実質の移動距離は10mか20mか? まあそれくらい。
しかし距離が短いのは欠点ではなくむしろ美徳である。なぜなら乗り足りなければ何往復もすればよいからだ。しかも無料。タダより安いものはない。控えめに言っても人類が到達した乗り物の理想形。
下り方向にも乗れる |
仕組みとしては跨座式モノレールで、法律上の分類は斜行エレベーターになるらしい。
中の操作パネルもエレベーターそっくりなんだけど、矢印の向きが完璧に斜めなのが非日常しててよかった。これは見つけたら戻るタイプの異変。
下から覗くのも面白かった。モノレールの下腹を頭上1mという常識外れの近距離で観察できる機会なんて普通ないから。
レールをまたぐ台車はスロープカー本体に完全固定されておらず、フリー回転できるつくりのようだ。これで坂道の勾配が変化しても内部は常に水平を保てる。
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