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じぶん敷ふとんは家に届いてからのカスタマイズが必須である

じぶん敷ふとんの購入後ほぼ1年くらいになる。この間に色々と試行錯誤をして知見が溜まってきたので、書いてみたい。

結論を先に言ってしまうと、商品のモノ自体は大変良いのだが購入プロセスには多少の問題があり、それを補うための追加調整・カスタマイズがとても重要となっている。


じぶん敷ふとんとは何か

それは敷布団である。あるいはマットレスである(どちらにも使える)。



上の写真(公式サイトからスクショした)がわかりやすいが、格子状のスリットが入ったウレタン3層の分厚いマットを組み合わせて作られている。

公式サイトには4つの商品ラインナップが記載されている。このうち自分が購入したのは一番安いノーマル「じぶん敷ふとん」。

見た目は西川「ムアツふとん」とよく似ているが、店での扱いはムアツを差し置いて最上位の扱い。当然値段も相当する(しかも公式サイトを見たら買ったときより2割弱値上がりしていた)。


しかし値段なりの良さは確実にあって、自分の場合、かつて寝ている最中に感じていた腰の違和感や痛みからきれいに開放されることができた。

それまでの布団では仰向け寝を試みるたび腰が痛く耐えられなくなっていたことを考えると、これは長足の進歩である。


独自機能

ムアツにない機能としては、

  • 固さの異なるマット5ピースを好きに組み合わせて1つの大きなマットレスを作る点
  • 個々のピースを4分割(全体から見ると20分割)したポイントに厚さ10~20mmのサポートを追加できる点

がある。つまり既製品を買って終わりではなくカスタマイズできるのがこの布団の大きな特徴ということだ。結果、より均等かつ個々人に合った体圧分散を実現可能という触れ込みになっている。


実際、自分のケースでは「仰向けで寝ると疲れるので横向きでしか寝られない」「尻だけが痛い」「腰に底突き感がありクッション性を感じられない」といった悩みを過去のものにできた。

購入当初、カスタマイズがベストではない状態で(それと気づかず)数ヶ月寝ていたが、この時期は上記のようなメリットを感じられなかった。それを鑑みて、実際にカスタマイズ機能は有用であると言うことができる。


※背中の体型は人によって様々らしく、既製品の布団で合わない人はとことん合わないものらしい。このあたりは筋肉量や骨格や体重によって異なると思われる。あくまで、自分のケースでは先のような効果を実感できた、というn=1の話である。


店頭計測の問題点

じぶん敷ふとんの購入プロセスでは、まず店頭で背中のカーブ形状の計測を行い、次に実際にとりうるマットピースの組み合わせ(プロファイル)を変えながら何度も寝てみる、という工程をとる。

このようにして全てのカスタマイズを店頭で一旦済ませ、そのフィーリングに納得した状態で購入する。後日商品が到着する際、家に届くのはカスタマイズの済んだピース5点のセットである(追加の背中サポートは自分で入れる必要がある)。

しかしこの店頭計測には少なからず限界があり、どうもあまり正確な結果が得られていないようであった。当初ベストでないカスタマイズ状態で商品を使っていたと上で書いたが、それの原因はこの計測の不正確さにある。


店頭計測が不正確になる理由であるが、自分の経験に照らしてみると以下のようになる。

  • 着ている服が大きく違う
    • 店頭計測時はジーンズを履いていた。実際に寝るときは当然もっと柔らかい寝巻きだし、ベルトもしていない。ジーンズの固さやベルト厚は計測の正確さという点ではかなりマイナスに働く。
    • 自分の場合、届いた布団は店頭での印象と比べて腰のサポートが顕著に弱く、仰向け寝では常に腰の筋肉が緊張し続けていると感じられた。
    • この際も厚さ10mm~ の追加サポートで状態はかなり改善されたことを考えると、ベルトとジーンズによる影響は相当大きかったものと推定している。
  • 計測に赴く前から足がそれなりに疲れている
    • こういった機能ふとんの店は大きめのショッピングモールによく入っているようで、自分が購入した店舗もそのひとつだった。
    • 大きめのショッピングモール(イオンタウンみたいなやつ)は半日も滞在すれば足が疲れてくるものだが、その状態ではどんな状態の悪い布団であっても、寝転がれるだけで天国のような快適さを感じてしまう。
    • つまり、試した布団に対する違和感を感じづらい、シビアな評価がそもそも難しい環境が、意図せず作られてしまっている。
  • 時間がない
    • 5ピース*3種類という可能な組み合わせを試すなかでは、どうしても一つひとつのセッティングで長時間寝てみることが難しい。
    • 先述した腰の違和感も就寝開始直後は気にならないが、5分、10分と経つにつれて耐え難いものとなっていた。
    • 上記に照らせば、本来は全ての組み合わせを最低5分ずつは寝てみないと正確な評価を下せないはずだが、店頭で多数の組み合わせをそれだけの時間をかけてテストすることは現実的に不可能である。
  • 店員はこちらの小さな違和感まで予測した対応を取ってくれるわけではない
    • むしろ高額商品にありがちな「客の言う事はなんでも否定せずその通りに対応するマシーン」モードで対応される印象であった。
      • 註:店舗数 n=1 における個人の感想である
    • こちらが「これで良いかなぁ」と呟けばそれが調整完了の合図になってしまうし、設定に関するアドバイスを求めても一般的な事項を案内されるだけだった。
    • ピーキーな調整を追い込みたい用途では、あまり優秀な相談相手ではない。
      • 註:店員が悪いということではなく、そういうスタンスで臨んだ結果確認をおろそかに甘い調整のまま購入してしまった、100%自分の落ち度である
  • 実際に布団を使うことになる家とは、総じて環境が異なる
    • 長時間カバンを肩にかけていた状態から計測のために荷物を下ろすと、それだけで身体は快適さを感じてしまい、布団の良し悪しにかかわらず肯定的な評価を下しがち。
    • 気温や照明などが寝るため前提の環境になっていないことで、布団に対するシビアな評価ができる条件にない。
    • アドレナリンが出ている状態でテストしているので、多少の不快感や違和感は無視できてしまう。
      • 「家の寝室で、店員という他人に配慮する必要のない自分は、布団に対してこんなにも厳しい評価をできるのだなあ」と感心するに至った


店頭計測は不正確である前提を飲んだ上で、これにどう対処すればよいのか

まず、家に届いた布団は、店頭計測の結果をもとにラフな調整がされたものと捉える。

つまり叩き台程度の参考設定と考え、ガンガン調整して修正をかけていくべきものと思っておく。


これが店頭計測を盲目的に信頼して「届いたままが最高に調整された最適の状態なんだ!」と思い込むと、せっかくの身体で感じた違和感に気づくチャンスを失ってしまう。

高額商品であるがゆえに「最高のものだと思いたい」誤謬が働きがちなので、このあたりは意識的に問題点を探しにいくスタンスが望ましい。


自分のケースを例に

商品到着時、初期状態は以下のようになっていた

  • 各ピースのプロファイルは頭側から柔・中・中・柔・柔
    • 柔/中/堅の3段階から選んで5枚組み合わせるもの。購入後もピース間の並び替えは家で自由にできる
      • 最初に選ばなかったピースとの交換はできない。自分のケースで言えば「堅」ピースは1枚も所有していないので、これとの入れ替えはできない
    • 位置でいうと、2ピース目が胸と腰、3ピース目が尻に相当する
    • このプロファイルは、体重が乗りやすい腰と尻を重点的に支えるオーソドックスなセッティングである、と言うことができる
  • 追加サポートは、足首裏に10mm厚、膝裏に15mm厚、腰裏に15mm厚
    • サポートはそれぞれ8cm程度の幅を持つ、細長いウレタンマットである。はんぺんを細長くしたような形といえばわかるだろうか
    • ふとん全体を縦に20分割したうち、好きな場所に10/15/20mm厚のサポートを追加できる
    • 購入後もサポートの入れ替えや厚さ変更は自由にできる


初期設定の問題点は、とにかく腰の支えが足りず疲れる点である。

これは枕を使わなければ気にならない(頭が下がるので相対的に腰が上がり、ともなって背中も上カーブするため)のだが、逆に言うと枕がある状態では常に背中の支えが足りず、寝ているあいだ常に腰の筋肉が緊張を強いられることになっていた。

結果「枕がある場合は横向き寝が最適」という、従来のせんべい布団とさして変わらない就寝環境になっており、商品のポテンシャルを十分に引き出せていなかった。


カスタマイズ後

初期設定の問題点を認識して以降、何度も調整してはテスト寝を繰り返すことになった。このプロセスには合計10ヶ月ほどを要したが、最終的に以下の設定値にまで追い込み、不満・違和感のない環境を整えることに成功している。

  • ピースプロファイルは頭側から柔・中・柔・中・柔とする
    • 初期設定の問題点を踏まえ、とにかく腰(第2ピース)を持ち上げるコンセプト
    • 持ち上げたい第2ピースの周囲を柔にすることで、腰に自然なカーブを与える意図での調整
  • ピース配置だけでは腰を十分に支えることはできないので、サポートを第2ピースに集中配置する
    • ※サポートを差し込めるスリットはピースごとに4箇所ある
    • 第2ピース2番スリットに30mm (20mm + 10mm) のサポートを追加
    • 第2ピース4番スリットにも30mm (15mm + 15mm) のサポートを追加
    • サポートは1スリットに1枚しか入らない。同一箇所に2枚配置は本来できないのだが、スリットの外に直接サポートを「置く」ような形で無理やり実現している
      • カバーのファスナーを閉じる過程で、それなりのマイルドさでなんとなく固定されているようだ
    • 30mmと20mmの違いであるが、自分の場合20mmサポート単体では腰の支えの不足は解消できなかった。私の腰は横から見てかなりのS字を描いているらしい。デスクワークの椅子がそのような形だからだろうか
  • 第2ピース3番スリットには、あえて何のサポートも入れていない
    • 腰の両端(2番と4番)をしっかり支えることで、中央部(3番)のサポートは不要とした。橋桁のようなイメージである
    • 可能であれば3番にもサポートを置ければよかったが、実際にはサポート枚数が有限なので選択と集中が必要であった
    • 実験を繰り返した結果の、この設定が最もフィーリングを損なわずに腰を必要なだけ支えられるという、実測から得た結論である
  • 1枚だけ10mmのサポートが余ったので膝裏あたりに配置しておいた。これはなくても問題ない


赤丸が追加したサポート位置のイメージ。腰の2箇所のサポートは間が開いている。
画像は https://anmindo-makuraya.com/deal の加工


結論:店員と店頭計測を信じすぎるな

「信じるな」とは言わないが過信はよくない。

それよりも自分の感覚、違和感、不快感を信じよう。


この商品を購入する場合、店頭計測の性質からして家でのカスタマイズは必須であると最初から予期しておくのがよさそうだ。

ハマれば最高の体圧分散を得られるので試す価値は大いにある。その意味でじぶん敷ふとんのトータル評価は☆4(性能は最高で文句ないがもう少し安くなってほしい。おすすめ)である。買おう。


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