スキップしてメイン コンテンツに移動

QBallトラックボールのマイクロスイッチ交換をやった

チャタリング

QBallという往年のトラックボール名機がある。生産終了品で入手困難なので大事に修理しながら使っている。


pcally QBall
ボールだけMicrosoft Trackball Opticalのやつ

最近自分が使っているQBallでチャタリングが酷く、まともに使えない感じになってきた。チャタリングというのはマウス等に組み込まれたスイッチの経年劣化によって起きる不良である。

「押しても反応したりしなかったりで安定しない」「一度クリックしただけなのにダブルクリックになった」「ドラッグ中に入力抜けが発生してドラッグ失敗する」などの症状がポピュラーだ。

これらはマウス内部のマイクロスイッチの不良なので、スイッチ自体を交換するという比較的簡単な方法で治すことができる。


とりあえず分解

QBallを分解していって、使われているスイッチの仕様を特定する。



QBallの分解は難しくない。特殊ネジも使われていない。底面のゴム足を剥がす必要はある。

注意点として、左クリック基板を保持パーツから外すためには、先にホイールだけ取り外しておく必要がある。



集積度の低い感じが昔のデバイスらしい風味。



赤いポチの付いている黒い箱みたいなのがマイクロスイッチだ。

さらに基板とフラットケーブルを外して光学センサ部だけにしておく。奥にはすっかり見なくなった砲弾型の赤LEDがのぞいている。現代の設計ならチップLEDか何かになっているんですかね。




適合するマイクロスイッチを探す

マイクロスイッチ天面は D の中に IC の刻印がされている。メーカー名の記載はない。




適当にググった情報からDICGUというところのスイッチらしいとわかった。ExpertMouseやOrbitOpticalなんかでも使われているという話。

https://wikiwiki.jp/fpag/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81


なるほどこんなロゴだったのか


「'DM1' 白台黒殻紅点。1990年代のマウス内でしばしば見られる。」とあり、まさにこれと思われる(白い台座に黒いケースが乗り、クリック部が赤い)。

嬉しくも定番のオムロン製D2Fシリーズスイッチと互換性があるという話だ。

さっそく注文し https://www.amazon.co.jp/dp/B00H5J7NE0 届いた。


5個セット
サイズ感でいうと、長い方の1辺が13mmくらい


D2F-01Fというこれは微小負荷タイプなるもので、D2F-01と比べると半分の力で作動させることができる。

QBallでのドラッグはチャタリングと関係なくもともと失敗しがちだったので、DICGUのスイッチよりも軽く押さえられる微小負荷を選んでみた。


古いスイッチを外す

バラしたQBallはこんな感じ。




モナカみたいに上下で綺麗に別れる。間をつなぐケーブルなどもないのでミスって壊す危険性は低いはず。

ただのついでだけど、普段掃除できないホイールの内側とかを洗剤で汚れ落とししておく。



古いスイッチをとりあえず1個外してみたところ。

こういうスイッチは当然基板にはんだ付けされているので、はんだ吸い取り線を使って除去してから引き抜いている。



こうして除去すると基板から部品がフリーになる(写真; 部品の足周囲のはんだが取れている)ので、弱い力でも外せるようになる。



白いのがDICGUスイッチ、黒いのがオムロンスイッチ。

ちなみにオムロンの社名は仁和寺もある京都の「御室」と呼ばれる創業地に由来している、という小話があったりする。


新しいスイッチをとりあえず1個つける

新しいスイッチをふんわり差し込んでみたところ。



互換性があるってすばらしいね! 3つの端子は基板のスルーホールにピッタリはまるのだ。

元と同じようにはんだ付けするとこう↓なる。やってる最中の写真がないのは私に3本目の手がないからです。



1個だけスイッチ交換した状態で仮組みして、ちゃんと動くことを確認する。




ちなみにはんだ付けの道具とか、やり方、理論、失敗時のリカバー、除去の仕方は下の動画がとても参考になった。さすがイチケンさんが永久保存版を謳うだけのことはある。



他のスイッチも全部交換する

このQBallは全部で4つあるマイクロスイッチが程度の差こそあれすべて不調であった。なので残りの3つも同様に交換してしまう。

写真はコントローラーICの載っているメイン基板を外したところ。



スルーホールの端ギリギリっぷりがすごい。基板がCの形にえぐれている。こんな設計あるんだ。



アリの巣観察キットみたく断面が横から見えて、はんだ付け後の様子がうかがえる(なおはんだが穴の中にちゃんと流れていってないように見える。下手くそ)。



ちなみに交換品は元のスイッチより部品の足が若干長く、そのせいで組み直したときにケースと干渉してパカパカ浮いてしまった。これはニッパーで端子を短く切断して対処。

一番状態が悪かった左クリック用スイッチを外したところ。



なんか茶色い液体がついてるのは、前にその場しのぎで接点復活スプレーをかけてたせいだと思われる。

あとは、10年以上前によくわからないで買ったフラックスが豪快に析出しているのを面白がって撮ったりしていた。


白い結晶がいっぱい落ちてる


刷毛にまで結晶がついていて取れない


小学校で糸を垂らしてミョウバン結晶を成長させたのを思い出してしまう。

こんな状態だが、意外にもフラックスとしてはちゃんとそれらしく効果を発揮している。明らかに成分比率変わっちゃってると思うんだけど、なぜ大丈夫なのかむしろ不思議。


元通り組み直してテスト

全マイクロスイッチの交換が終わった状態(ホイールクリックはタクタイルスイッチなので今回の作業対象ではないです)。



筐体に収めてみる。



動作が問題なさそうなのを確認してから外装部品を取り付ける。




もとどおり。


スイッチ交換後の使用感

まず不具合の解決状況について、

  • 不定期にクリック不良になる → 再発しなくなった
  • ドラッグ失敗する → 失敗しなくなった
  • 進む戻るが1回押しなのに2回認識される → 再発しなくなった

という感じでチャタリングを要因とするトラブルはたぶんすべて解消した。

微小負荷スイッチも良いフィーリングで、QBall特有のドラッグの難しさが払拭されたようだ。


クリック音や感触はさすがのオムロン品質。「適度な軽さでスイッチ作動」「指先にちょうどよいフィードバック」「スイッチがすぐ戻るのでダブルクリック操作もスムーズ」不快な振動の感触なく、以前より控えめでしっとりとしたクリック音は羽衣のごとし。

総じて好印象で、DICGUスイッチが万全だった頃よりも高級っぽさが出たようにも思える。まあこのあたりは好みの範疇ですね。


今回のことで仕様のよくわからない生産終了品もしっかり延命できることがわかったので安心した。またやっていこう。


関連記事

コメント