新しいメカニカルキーボードがほしくなったので池袋と秋葉原を回って実物を見てきた。ビックカメラ池袋本店、パソコンショップアーク、ヨドバシAkibaなど。
キーボードは仕事でも使うものなので、派手な打鍵音や虹色光よりも長時間使って疲れないことが重要となる。そのような視点で好みのキースイッチを探したメモ。
Keychronの扱っているスイッチテスター 似たようなやつを遊舎工房で触ってきた |
あちこちで試打しているうちにわかった私の好みは以下のようであった
- リニアが好き
- 作動圧45-55g近辺が好き
- 押し込み時の抵抗は可能な限りゼロがよい
- ヌルッと滑らかに立ち上がるパワーカーブが好み
またキーボード本体の作りの比重が大きそうなところでいくと、静かで控えめな音、ソフトな底打ち感といったあたりがキーワードになるようだ。
CherryMX
店によっては「赤軸」「茶軸」としか書かれておらず、実際はGateronあたりの感想が混じっている可能性もある。 一応同じ軸名をした複数台を触ったときの平均的なフィーリングに対する感想なので、そこまでズレてはいないかと思う。
- CherryMX 赤軸
- ゲーミングキーボードの売り場で一番よく見る。打ちやすいし結構嫌いじゃない。
- CherryMX 茶軸
- タクタイル感はいやらしくない程度で不自然さがない。ただ軸そのものに引っかかりがあって疲れそう。
- 赤軸より作動圧は重いはずなのだが、触っている限りは同程度と感じる。ということは赤軸よりもミスタイプを減らせる可能性がある……?
- CherryMX 黒軸
- 明確に重い。初動が空気を入れた風船を押し込んでいる感じ。多分疲れる。
- 動き出す前だけに特別強い圧力を感じるということは、リニアスイッチでありながらも自分の指にとってこれはリニアではない。
- 軸が周囲と擦れる摩擦感のような引っ掛かりを強く覚える。苦手。
- CherryMX 青軸
- ストロークが短く、硬い底打ち感もありあまり好みではない。
- 華やかさはあるが仕事で毎日使うことを考えるとうるさいのではないか。
- 1日使ったら疲れる系な気がする。
- CherryMX 静音赤軸
- 赤軸との比較では確実にこちらが良かった。打ち心地は同じ。
- CherryMX クリア軸
- 黒軸をタクタイルにした感じを受けた。
- 嫌いではないが長時間触ると疲れそうに思える。
- CherryMX 銀軸
- スピードシルバーとかいう作動点が浅いもの。これ系をスピードスイッチというらしい。
- 名前的に混同してしまうがラピッドトリガーとは別物である。
- 叩いた感触は赤軸とほとんど同じだった。
- 自分は作動点が浅いとミスタイプ増える。なので赤軸とタッチに違いがない以上わざわざ銀軸を選ぶ理由がないと判断。
CherryMXはかなり古い製品であるためか、全体的に他のスイッチと比べ特にスムーズさに欠けるタッチであった(ただし、確実にCherryMXの採用製品であることがわかっているFILCO Majestouchの試打に偏った感想なのでフェアではない)。
タッチ以外にもチャタリングの発生しやすさもあり、偉大なる先達ではあるものの、現代においてCherryMXを選ぶメリットは考えづらいというのが自分の考えだ。
また、比較の際基準とするには上述の軸摩擦感がやや外れ値に過ぎ、今であればかわりにGateronあたりをリファレンスとするほうが良いように思う。
Varmilo
機構がメカニカルなのにセンシングは静電容量式というのが面白い。チャタリングが発生しない(たぶん)のは嬉しいポイント。
- Varmilo サクラ軸
- スペックはCherryMX赤軸と似ているがストロークが短く、硬い底打ち感があって、ちょっと疲れそうなのでパス。
- Varmilo ジャスミン軸
- 嫌いではない。これもストロークが浅めなので疲れないか心配。
- スピードスイッチなので自分のニーズには合わない。
- CherryMX赤軸と比べて戻る力のバネっぽさが強く、ちょっと人工的なフィーリングに思えた。
- Varmilo アイリス軸
- 他社のクリッキーより引っかかり強い感じがした。
やたらと軸を選べるVarmilo |
Gateron
ありとあらゆる製品に採用されている、事実上の標準スイッチ。色の呼びはCherryMXと互換性がある。
- Gateron 赤軸
- リニア感は悪くないがストロークが短く、底打ちが硬い印象。
- Gateron 茶軸
- いやらしさのあるタクタイルではなく、控えめで打ちやすい感じがする。底打ち感も赤ほど強くない。
- Gateron 青軸
- キーを戻す時の引っかかりがダメだった。
- Gateron G Pro 黄軸
- かなり好み。ルブ済、大変スムーズ。
- 赤よりちょい重なので底打ちがソフトになるのがうれしい。
- Gateron G Pro 赤軸
- これもわりと好み。ルブ済、同じくかなりスムーズ。
- Gateron G Pro 茶軸
- タクタイルだが静かめ。赤軸より底打ち感が軽減されてるのはよい。
- Gateron Mountain Top
- 変わり種。色がカワイイ。紫ケースに茶色の軸、そういうバターサンドみたい。
- タクタイルだけど控えめかつ静音で、底打ちがソフト。ただスピードスイッチなのが個人的な難点。
- Gateron KS-37B
- Boog75に載っているのを触った。磁気スイッチ。
- 磁気スイッチはどれもかなり滑らかな動きで好き。これもその例に漏れない。
- 接点がないタイプのアナログスイッチなので摺動部が減った結果スムーズなのだと解釈している。
Keychron
KeychronのスイッチはKeychronのキーボードでしか試せないので、どうしても本体込みの評価になってしまう。
- Keychron K Pro Red
- Keychron K2 Proに載ってたものを触った。ふつうに好み。
- Keychron K Pro Yellow
- スペックシートではリニアとなっているが、知識ゼロで実物を触った指にはタクタイルっぽさを感じた。
- とりあえず何かしら引っ掛かりがあるのだと思われる。とにかく滑らかなリニアが好きなので候補外。
- Keychron K Pro Banana
- 黄軸よりさらにタクタイルみが強い。
- こちらはスペックシート上でもタクタイルとなっている。
Razer
- Razer イエロー (Gen3)
- ルブ済みのリニアっぽい感触。そして静か。好みのタイプ。
- 単体売りもありそうなのでそのうち試すかも……?
- と思ったらスピードスイッチ系じゃんこれ。
- Razer アナログオプティカル
- 機構はメカニカルだがセンサーは光学式。押下量そのものを直接検知できるのでラピッドトリガーを実現できる。
- 黄軸よりさらにヌルッとしている。かなり好みだがアナログスイッチのためおそらくCherryMXとは互換性がない。
- 底打ち音はかなり大きめの印象だった。
その他
東プレ GX1 45g(初音ミクコラボ)
これはキーボード完成品全体での感想になる。
- ガスケットマウント品に似たソフトな底打ち感で結構好みだった。静かだし。
- でも東プレは10年以上使って結構飽きてる問題があり。
- やはりラバードーム構造からくる、初期の荷重カーブのグイッとくる立ち上がりを感じられる。
- 新しいようでいて、よくよく触っていると「あーうちにあるのと同じタッチだ……」となって醒める。
- 「東プレは疲れない」ってそれ、本当に自分の指で触った生の感想をフラットに言ってます? みたいな疑いはあるよね。なんせ高いから。私はRealforceでも普通に疲れる。やっぱリニアじゃないので余計な力が必要なんだよなあ。
コラボ版キーボードの色かわいいよね |
RAESHA V2
- 機構はメカニカルだがセンサーはホール素子という磁気スイッチ。押下量そのものをアナログ検知するタイプ。
- タッチがとにかくすごい良かった。ルブ済なのか、とても滑らか。これが本当のリニアスイッチだ。
- 指の重さだけでいい感じのところまで落ち込む。
- 押している最中、軸に引っかかりを覚えることが一切ない。戻る時も同じく無摩擦。
- 底打ちを軽減するためか、最下部の少し手前でぐっと反発が強くなる感覚がある。これがいやらしい感じのない自然な反発で素敵。
- 昔のセブン銀行ATM(東プレスイッチの滑らか版)をさらに滑らか&上質にした感じのタッチ。
- アナログスイッチなのでCherryMX互換とはいかず、これを搭載した完成品を買うしか使う手段がなさそう。
- するとキーボード本体側デザインが「ふつうのゲーミングキーボード」でしかないので選択肢から外れる。
- このとき試したキーボードはVXE-ATK75(L版)だった。
Durock Ice King Linear
- すっごいなめらか。とても好き。
- 「熱したナイフでバターを切るような独特で圧倒的な滑らかさ」と書かれていた。よい言語化だ。
Aurora Ice Cream
- VGN S99に載っていたものを触った。
- 説明ではリニアとあるがわずかにタクタイルみを感じる。あと軸の摩擦感も。
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