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自分好みの1台を作れる「Ploopy Thumb トラックボール」を入手した

あいかわらずトラックボールマウスばかり使っている。ボールをコロコロしていると気持ちがいいからだ。たぶん玉転がしには何か根源的な快楽があるのだと思う。

さて、このほど新しいトラックボールを入手したので自慢したい。


これです


Ploopy Thumb トラックボール

である。 https://ploopy.co/thumb-trackball/

スペックは

  • Microsoft Trackball Optical 瓜二つのデザイン
  • 親指機としては大きめの1.5インチボール、結構重め
  • 高精度光学センサ+ベアリング支持
  • タクタイル感触一切なしのホイール(クリ、クリ、っていう感触がない)
  • QMKファームウェア
  • USB-C有線接続

トラックボール使いをはじめて20年、時代が一周して手持ちがすべて有線接続機だけになった、というのは個人的おもしろポイントだったりする。


全部カスタマイズできる

こいつは「自分だけの好みの1台」を作れるオープンソースのハードウェアだ。


プラ部品はすべて3Dプリンタ製
このように積層痕が見える


Ploopyの製品はすべて、3Dモデルも使用部品も基板設計もすべて無料公開されている。本体外装パーツは3Dプリンタで印刷可能、基板は設計図を適当な店に送りつけて制作させることができる。

設計図はすべてGitHubで公開されており、集めたり作ったりした部品を組み合わせることで自分だけのトラックボールを手作りできる。組み立て説明書もGitHubのWikiに置いてあった。

当然オープンソースなので自分でフォークして機能を追加したり、デザインを修正したりできる。そのようにして自作の改造版を公開している人もすでにいる。


裏面には CERN Open Hardware License の記載がある


カスタマイズが面倒なら普通に買ってもよい

カスタマイズできるのはいいことだけど、プリンタは持ってないしはんだ付けは面倒だよね。

かくいう私も横着なので「完成品・組み立て済み」というのを公式サイトから普通に注文した。他にも「部品のみキット・自分で組み立ててね」や「消耗部品だけ補充キット」なんかが売ってる。

いずれも本体色、ボール色とWedgeの個数(0~2個)は選べて、カナダ発送で2週間くらいすると届く。


まる1ヶ月使った感想

端的に言ってかなり良い。かねてより「親指型でベアリング支持の機種が発売されたら最強のトラックボールになる」と言い続けてきたのだが、それが実証された形だ。



まず最初からベアリング支持機として設計されている点が大きい。これまでずっと点支持タイプの機種をベアリング化改造して使ってきたが、改造ゆえベストな支持ポジションが選べなかったり、加工精度の問題で安定性が低かったりといった問題があった。

その点この機種は最初からベアリング支持前提で開発されており、素晴らしい安定性によるブレのないボール操作ができる。理想の一言に尽きる。

トラックボールは支持部の設計でフィーリングの8割が決まると思っているが、この機種の設計はまさに理想の体現だった。ボールの操作感に関しては本当に言うことがない。

※ベアリング支持の優位点について補足

ベアリングの良さとはひとえに動き出しの摩擦の少なさにある。点支持タイプは摺動部があるため動き出しは静止摩擦となり、操作中の動摩擦との間には無視できないギャップが存在する。これが指の疲れの原因になる。

一方、ベアリング支持は動き出しが転がり抵抗なのでそのギャップが皆無であり、長時間使い続けてもストレスにならないし、細かい動きの調整を繰り返すような用途でも疲れることなく作業を継続できる。


ベアリング型の常として、音は点支持タイプより大きい

センサーはしっかりした良いものを使っていて 1200, 1600, 2400 dpiを切り替えられる。

古いトラックボールを使っているとセンサーのDPI値が低く不便なケースがあったが、こちらはしっかり最新仕様だ。カーソル飛びもない。

スイッチはすべてオムロンD2LS-21が使われている。高級マイクロスイッチのクリック感はとてもよい。今まで使ってきたマウスの中では一番好みの感触だった。




外装がプリンタ製なので積層痕からくるザラザラ感がある。適度なグリップ感がある程度で、あまり気にならない。

一方、ホイールがいっさい触覚フィードバックのない無抵抗スルスル回転タイプなのは、個人的にはあまり好みではない。回転に合わせてクリクリと適度に抵抗感のある、普通のホイールの方が好きだ。

しかし使っている限り、これで困るというケースは特になかった。


VIAの画面
6個のボタンの機能を好きに入れ替えられる

あとはQMKファームウェアというのも特徴だ。QMKというのは自作キーボード界隈で主流のマイコン制御ファームなのだが、

こいつを使っている入力機器ではボタン機能を入れ替え等がすっごく簡単にできる。具体的には VIA ってサイトにアクセスするとブラウザだけでキーコンフィグ書き換えできてしまう。設定ファイルを書いたりする必要もない。

個人的にはDPIスイッチは使わないので第6ボタンに割り当てたが、こういうことが瞬時にできるし、瞬時に戻せる。便利。


本体デザインについて

まず次の写真を。



左は今回購入したPloopy Thumb。で右は何かというと、Microsoft Trackball Optical である。

一見して瓜二つのみならず、持った感触も同一である。ボールサイズも同等だ。というかパクリ……? 立体物のデザインって著作権の保護は及ばないものでしたっけ? よくわからん。

ちなみに、Ploopyには人差し指タイプの「Ploopy Classic」という機種もあるのだが、こちらは Microsoft Trackball Explorer そっくりの見た目をしている。Optical と Explorer はいずれも引けを取らない往年の名機だ。



ボールサイズが同じなので、写真のように互いに入れ替えられる(入れ替えた赤ボールでも使えなくはないが、読み取り精度は落ちる。チクワっぽいパターンが良くない様子)。

  • Microsoftの赤ボール:直径 38.05mm、質量 35g
  • Ploopyの黄色ボール:直径 38.20mm、質量 54g

左下はQBallのラメボール。これも同じサイズだった。

Ploopyの黄色ボールはSnooker Ballというものらしい。スヌーカーは知らなかったので調べた。ビリヤードみたいな競技だが、使うボールがビリヤードの57mmより小さいのだという。

つまりPloopyのボールはもともとスヌーカー競技用であり、トラックボール専用品ではなく、その関係で少々重い(普段はいいとして、疲れたときは別の機種を使っているといえばわかるだろうか)。Amazon等で容易に代替品が入手できるメリットから選ばれたのだろう。




USB-Cケーブルは取り外し式で、これは持ち運びや断線リスクを考えるとなかなかに良い。

無線接続には対応していない。マウスと違って本体位置は動かないので、この点大したデメリットではない。デスクの上がちょっとごちゃつくくらい。




今どきのトラックボールらしくWedge(下駄)を履かせられるようになっている。Wedgeは1枚で10度、2枚で20度。ふだん1枚で使っている。

2枚つけると微妙に安定感が損なわれるかも。


まとめ:まさに理想のトラックボール

Microsoft Trackball Optical がベアリング支持だったとしたらどうだろう……? 

みたいな妄想はトラックボール好きなら誰しも一度はしたことがあると思うのだが、その妄想を現実にしてしまったPloopyは掛け値なしに当代最高のトラックボールである。

普通に売られている(= 点支持タイプの)トラックボールを使っているがどうも疲れるだとか、名機 Microsoft Trackball Optical のフィーリングを体感してみたいとか、そういった向きにはおすすめだ。


黒もいいよねぇ

動き出しの悪くなった点支持トラックボールでExcelの細かい操作なんかをするのは結構地獄なので、そういった心当たりがある方にはPloopyはとてもマッチするだろう。布教していきたい。本当によいので。


当然のごとく分解もやっているので次回はその話なんかをする予定。あとそのうち塗装もしたい。


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