スキップしてメイン コンテンツに移動

Ploopy Thumb トラックボールの内部構成を解説

引き続きPloopy Thumbのことを書いていく。今回は分解して中身を見ていくよ。

わざわざ pre-assembled バージョンを購入しておいて、再度 disassemble しているのだから世話ない。



外観と使用感レビューは前回の記事をみれ。


Ploopyは分解組み立て前提の構造である

そりゃあそうだ。部品を自分で印刷して作るがコンセプトなのだから。

通常のメーカー品のようにネジを隠すステッカーが貼られていたり、あるいはトルクスネジが使われていて特殊ドライバーがないと開けられなかったりはしない。


平常時のPloopy。目玉焼きカラー。


ボタンだけが最初に外れる

ひっくり返した裏面に普通の+2ネジがある。最初に外れるのがボタンだ。


そこが外れるんかーい

ええええっ! て感じだがボタン部分がまるごと外れる。他では見たことのない構造をしている。とにかくボタン部だけ、スッと真上に向かって抜ける。ツメが噛んでいたりもしない。

これがふつうのメーカ品ではどうかというと、本体全体が上下2つに大きく分離し、ボタンは後から取れてくる。


ちなみに、ボタン部分は外したこれが1パーツのプリント部品なのだが、単体で可動機構が備わっていた。

「プラの薄くなっている部分はごく軽い力で曲がる」をボタンの押し込みに使っている形だ。なので分解時に力を掛けすぎると折れるかもしれない。


ボール置きは上部に直接作り込まれている

上部(グレー部分)は以下のような3パーツ構成になっている:
  • ボタン大:左右クリックと右サイドクリック
  • ボタン小:左サイドクリックx2
  • 本体外装
ボールを置くカップは本体外装パーツに直接作り込まれている。


外装だけを取り外してボールを入れた状態
センサーからはボールがこのように見えている


これも珍しい構造だ。

大抵のトラックボールでは、ボール置き部のカップはそれだけで単体パーツになっていることが多い(M570系、Microsoft Trackball Optical、QBall、EX-G等すべてその形)。
例外的にExpert Mouse Proは本体側の外装にカップがあったが、それでも支持するベアリングは3つとも台座側に設置されていた。

なのでPloopyの、ベアリングを含めたボール支持機構一切を外装側に持たせるというのは聞いたことのない構造である。


外装に直接ベアリングを埋め込んでいる

構造上、ベアリングの駆動音が台座やその下のデスクに受け止められない関係で、Ploopyではベアリング支持型の中でも動作音が比較的大きくなっている。


基板のうねうねがカワイイ

ボタンのあと本体カバーも外すと、写真のように基板が露出する。


なんかロゴ入りの高級そうな基板が使われていて、色が良い


なにやら下の方に蛇みたいなウネウネしたゾーンがある。

真上からだと分かりづらいがこの部分で基板は前後で曲がっている。ウネウネがバネのような役割を果たすことで、導通を維持したままある程度自由に曲げられる構造だ。




台座だけにするとわかりやすい。手前は盛り上がった形状をしていて、ここにウネウネが沿うようにフィットする。

基板を曲げることでセンサー角度をボールに対して垂直に保つことができる。部品点数を増やすことなしに読み取り精度を確保する設計だろう(補足すると、光を曲げるための透明度の高いプラ部品はプリンタ出力できない)。


シンプル構成の基板

基板はネジだけで台座に止まっている。上下をつなぐフラットケーブル等もなく1枚で完結。大変シンプル合理的な構成だ。


パッと見でわかるのは、ホイールの回転部分のプラ部品もプリント製だということ(フィラメントのバリが残っている)。ここの穴を光学センサで読み取って回転検出している。

ホイールをグイッと押し込んだまま回すと台座に接触してしまうのだが、台座を削ってこのアタリを解消することはできなかった。設計図から直す必要があるかもしれない。



渦巻き模様がかわいい
ホイールの黒い輪っかはゴム製のOリングx2


台座から取り外してもうねうねの曲がりが残っていて、センサーが斜めになっているのがわかる。

右側にマイコンICとセンサー窓がある。自宅組み立てキットを買った場合はセンサー裏側ICのはんだ付けを自分でやる必要がある。私はそれの自信がなかったので組立済み品を選んだ。


ホイールクリック機構は脆弱




スイッチにすべて同じ部品が使われているのが特徴のひとつ。オムロンのD2LS-21である。小ロットなので部品調達の関係から、多種のスイッチを使うよりも安上がり&在庫管理が楽、みたいな事情があるのだろう。

ホイールクリックまでちゃんとマイクロスイッチが使ってあるのはステキだ。


気をつけたいのは、ホイールクリック機構にはプラスチックの細い板バネが使われている点。これは大変折れやすいので、分解時は気をつけねばならない。

「ホイールクリックが硬いときは板バネを押し込んで潰してね!」という組み立てガイドの記載を真に受けてやると折る(折りました。エポキシで補修)。


基板は単体で機能する

基板は1パーツのみで完結していると書いた。つまりこの取り外した状態の基板であっても完全にマウスとして機能する。


ケーブルを差せば基板だけでも操作できる

ホイールの上で紫色に光っているのは回転検出用の赤外線ダイオードだ。2箇所で発光させ、反対側の2箇所で受光している。

面白いのは、両方のセンサーに光が入らないと回転検出されない点だ。2つのセンサーにおける遮蔽と受光のタイミングのズレを回転方向検出に利用しているのだろうと予想している。


まとめ:シンプルな構成で分解容易だが破損に注意

Ploopy Thumbの分解をしてみた。全ての部品が同一のプラスネジだけで固定されており、分解は大変容易である。

一方、耐久力を要する部品が3Dプリンタ出力の細いプラ棒に依存しているなど脆弱な構造もある。分解時は余計な力がかからないよう慎重にやるのがよい。



実は隙間から基板の紫色が覗いていたりする


コメント